[使いかた] [ファイルの投稿方法] [ワード検索] [過去ログ] [管理用]
おなまえ Eメール(任意)
URL(任意) アイコン  (ファイルの参照はクリアされます)
タイトル
発言内容

ファイル 1 各種のファイルを投稿できます。
ファイルの数 投稿するファイルの数を変更できます→ (ファイルの参照はクリアされます)
削除キー ←英数字で8文字以内。自分の投稿内容を修正・削除する場合に使うパスワードです。
文字色
・・・枠のある画像はクリックすると拡大表示します・・・

非常勤日記 31回 投稿者:新井 明 投稿日:2013/12/25(Wed) 22:42 No.592

12月某日
生徒と一緒に雨の中、工場見学に行く。行った先は花王の工場。総合学習の一環である。化粧品の制作ラインを外から見学。その後、花王製品やそれが使われていった歴史の展示を見る。しっかりした展示で、もう少し自由に展示を見る時間が欲しかった。ちょっともったいない感じである。でも百聞は一見に如かず。勉強になった。

12月某日
2学期の終業。こちらは、まだ大学の非常勤もあり終わった気がしない。夕方から大学へ。模擬授業では、恒例のハイデガーをテーマとした授業を学生が披露。30分でハイデガーがなぜ存在を問題にしたのかを時間論を組み入れて説明。聞いていてよくわかる。日頃の勉強の成果しっかり出ていた。強風のなかコートの襟をたてて帰宅。

12月某日
ヘンデルのメサイアを聞きにゆく。バッハコレギウムジャパンの演奏。メサイアの実物を一度聞きたいと思っていた。演奏は素晴らしかった。ナチュラルトランペットがかっこ良い。ただホールが大きかったので、ちょっと拡散した面もある。これは仕方がないか。となりの若い女性いわく「これなら眠くならない」。ハレルヤのところで立つかどうか迷ったが、座って聞いた。何人かの観客はたっていた。これって経済学のテーマになりうるのではと感じた。

12月某日
学校は休業だが、出勤日数の関係で学校へ。生徒のいない学校は素敵だ。とはいえ、講習や個人面接で結構先生も生徒も登校している。総合学習の私の講座もレポート書きのために登校。昼は簡単なクリスマス会をやる。コンビニのお菓子を買って食べただけだが、こんなこともまた休みだからできることだろう。小さなケーキを乗換駅の駅ナカで二つ買って帰宅。

12月某日
部屋の引っ越しを始める。正月に娘が帰ってくるのでその準備。今の部屋も越境して居座った仮住まい。それでも本やら書類がたまった。それらを整理するのは面倒なので、今度の部屋にそのまま横滑り。まあいつかは思い切って捨てるのだろうが、それまでは一緒に移動ということか。
本日から年賀状を書き始める。プリントごっこで作ったもの。まさにアナログ人間の産物。もうプリントごっこは消耗品も含めて販売をやめているので、このスタイルでできるのも来年までか。



Re: 非常勤日記 31回 新井 明 - 2013/12/25(Wed) 22:51 No.593

補足
12月某日
WSに参加のために三浦にゆく。京浜急行は先頭車両がボックス型になっていて、一番前に座り、「電車でGO!」の雰囲気を味わう。なんと写真までとってしまった。
WSの内容は報告の金子先生も、コメントと講演の加藤先生も、また質疑も素晴らしかった。休日の半日を使ってもおつりが出る気分。急いで帰宅しなければならなかったので、三崎港のマグロを食べ損なった。これは残念。WSの内容はレポートをご覧ください。



非常勤日記 30回 投稿者:新井 明 投稿日:2013/12/19(Thu) 09:56 No.589

12月某日
今年の本務校での授業は総合学習の扱いなので,定期考査のなかに入らないため通常の授業時間でテストをする。そのなかで,学んだことに関してのエッセイを書かせるのだが,今回はアイヒマン裁判に関してのものが多い。私自身もちょっとこだわって何回か仕掛けをしたこともあったのかと思う。アイヒマン有罪説,無罪説は拮抗。生徒の考えの深まりを感じさせるものがかなり見え始めて少し手応えを感じる。

12月某日
大学の非常勤の講義では模擬授業がはじまる。この講義を始めたときは全部自分が講義するスタイルだったのだが,受講生から模擬授業も入れて欲しいという要望がでて,導入している。
本日は,幸福・正義・公正の問題を開発援助と関連させたものと,金融政策についての2本。本当は50分の授業全部をやらせたいのだが,受講者数の関係で30分で切る。担当した学生は,頭で準備したものを授業という形でアウトプットさせることがまったく違うという経験をする。とはいえ,しっかり内容を咀嚼し準備したものは説得力が違う。そんな違いも実感できたのではと思う。

12月某日
学校図書館で「ビブリオトーク」に参加する。今「ビブリオバトル」というのが流行りはじめ,東京では都知事の指示で全都立高校が取り組むようにということになっている。本に親しむ,これをきっかけに本の世界が広がるのは分かるが,バトルである必要はないと思う。そこで,まずは教員が各自推薦の本をもちより,コーヒーでも飲みながらトークをしようということで「ビブリオトーク」をやってみようということになった。とにかく今の先生方は忙しい。昔教員があつまって読書会をやったというのは夢のような時代だ。
今回は職員の方も含め7名が集まる。本にまつわる話を含めて参加者のひととなりや関心がうかびあがり,とてもよい時間だった。推薦された本を読んでみようという気持になった。職場のゆとりは,こんなところから始まると実感。

12月某日
授業で,少し冒険をする。
ちょうど期末で1時間の余裕ができたので,「生まれてみたい国,生まれたくはない国」というテーマでアンケートをしてみた。国際理解という授業なので本来はこんな問はタブーなのだろうが,みんな仲良くしましょうといっても,現実とのギャップを生徒は感じている。それを埋めてみたいという問題意識があった。生まれてみたい国ケニア,理由運動能力が高いというようなちょっとずれた回答があり,ほっとしたのだが,やはり生まれてみたくない国には,独裁国,内戦がある国などがでてきた。そういう国や国民にどんな形で関わることができるかとさらに質問してみる。関わらないという回答や安倍さんに頑張って欲しいという回答もある。多くの生徒はそこで本当に何ができるのか,とまどっている。私たちおとなだって答えが出ない問題である。教えるというより一緒にこれから考えてゆく出発点に立ったかなと感じる一時間だった。

12月某日
猪瀬都知事辞任のニュースが飛び込んでくる。知事が変わって学校はどうなるか。安倍内閣もそうなのだが,経済より政治の季節になってしまっているようだ。



非常勤日記 29回 投稿者:新井 明 投稿日:2013/12/10(Tue) 22:17 No.588

12月某日
比較的長距離通勤なので、電車のなかでの人間模様を観察するチャンスが多い。本日は、となりのおじさんがずーと「ゲーム」をやっている。もう50歳を過ぎた感じの会社員風のおじさんである。ちょっと覗くとネットゲームらしい。うーんこの人はどんな仕事をやっているのだろうか、どんな家庭なんだろうかなど想像は膨らむ。とはいえ、それ以上でもそれ以下でもなく、同じおじさん、いやおじーさんである私は電車の揺れに目をつぶりながら運ばれてゆく。

12月某日
日経新聞と朝日新聞がともに今年のノーベル経済学賞の受賞者のインタビューを掲載している。日経は、ハンセン、ファーマのシカゴ大学グループ、朝日はエール大学のシラー教授と対照的人物をとりあげている。今年の受賞者はファイナンスを全く違った視点でとらえていることが良くわかるし、新聞社の立場の違いもわかる。とはいえ、私にはどちらの理論が正しいのかわからない。きっと両方正しいんでしょうね。いや両方ともまちがっているのかな。

12月某日
妻の親戚からお米が送られてきた。新米で、天日干しのお米である。早速たいてみる。おいしい。ブランド米でもないし、そもそも送ってくれた親戚は学校の先生をやっている人だ。つまり典型的な兼業農家である。というより自給農家である。自分で作るとこんなにおいしいお米が食べられるという現実と農業保護の問題をからめると、ちょっと複雑な味だった。

12月某日
年金の書類送付に関する手紙がくる。来年65歳になるのでその予告の手紙である。ついに老齢年金の支給対象者となる。これも複雑な思いである。手紙には、65歳から受給するか、それともそれ以降に金利分だけ多くして受給するかのアンケートがあった。もちろん、65歳からの受給にマルをつける。だっていくら金額が増えるからと言って5年後にはどうなっているかわからないものね。



非常勤日記 28回 投稿者:新井 明 投稿日:2013/12/04(Wed) 21:05 No.587

11月某日
二次検診で診療所へ。気管が何かの原因で曲がっていると言う診断。単にレントゲンを撮るのかと思ったら、なんとMRIを取った。これって過剰診断じゃないかと思う。MRIは安くとも7000万円以上かかるとの報道を読んだ。これを償却するのにどんどん使うということは容易に考えられる。結果はのちほどといわれて帰ってきたが、医療費の無駄使いのお先棒を担いだ気分である。

12月某日
大学の授業はいのちの授業に関する内容。『豚のいる教室』という映画のもとになった黒田先生の実践を俎上に上げる。学生諸君の反応は完全に二分される。20年前の小学校の実践だが、現在はこの種の冒険的な授業はほとんどできなくなっているのではと思う。生命倫理は科学技術や哲学、宗教の観点から取り上げられることが多い。それはそれでよいのだが、豚でいえば生業や産業のからとらえる経済の観点も必要かと思った。

12月某日
映画『ハンナ・アーレント』を見に行く。高校でも大学でもアイヒマン裁判を扱っていたのでぜひ見たいと思っていたが、なかなかチャンスがなかった。なんとか時間をつくって岩波ホールに行く。びっくりしたのは、満員であったことと、私も含め高齢者が多い、いやほとんどが高齢者であったこと。もう一つ、はじめてシルバー割引を使ったこと。ハンナの批判者がステレオタイプに描かれすぎていることなど不満はあるが、一人の思想家の内容をよくここまで映像にしたなと感心。ただ、アーレントのアイヒマン評が本当にそれでよいかは映画とは関係なく残る問題だと感じている。また、ハイデガーの思想と行動など、何回も反芻しなければいけない問いではないかと感じながら帰宅した。

12月某日
韓国のKDI(シンクタンク)の金先生とその研究仲間の先生が学校を訪ねてくる。目的は、日本の経済教育と韓国の経済教育の実態比較のための調査。当初は授業見学を希望されたのだが、ことしは経済の授業をもっていないことと、丁度期末考査期間中なので希望に沿えなかった。でも、インタビューを受けることで了解してもらった。金先生は早稲田大学に半年滞在していたこともあり、日本語ができるのでほっとする。なにしろ、英語はブロークン、ハングルはさっぱりなので心配していた。日本の受験システムの中の経済学習の位置を聞かれたのだが、なかなか的確に答えられず申し訳なかった。事前に韓国の経済教科書をいただいていたのだが、これがなかなかの内容なので、東京部会で報告しようと考えている。ただし、ハングルなので『解体新書』流の読み解きとなりそう。



非常勤日記 27回 投稿者:新井 明 投稿日:2013/11/27(Wed) 14:01 No.583

11月某日
大学の非常勤でアイヒマン裁判を取り上げる。出講している二つの大学でリアペの内容が微妙に違うところが面白い。学力レベルはそう変わらない大学どうしのはずであるが、違いは何だろうと考えたら、入試の方法が違うことがあるのかと思いつく。一つは、センターテスト+論述入試、もう一つは、かなり細かい(それがその大学の問題の特色なのだ)知識を要求する選択テストで合格してきた学生諸君である。受講学生の学年や数の違い(片や3年10名、片や1年から大学院生まで70名弱)もあるのかもしれないが、ちょっと興味深い。

11月某日
前回紹介したアゴタ・クリストフの小説が面白かったので、続編の『二人の証拠』『第三の嘘』を買って読む。最初の『悪童日記』だけでよかったという感想。三部作で作者がなぜ書き続けたのはわかったし、文学的には一層の深みに言ったのかもしれないが、迷宮にはいったような構成は苦手である。双子(本当に双子だったのかは続編で変遷する)の自己形成、働くこと、学ぶこと、生きることのなまなましさ、人間の不条理などは『悪童日記』に十分書かれていると感じる。どんな物書きも処女作を越えないというのは本当だと思った。

11月某日
猪瀬都知事の金銭スキャンダルが話題になっている。猪瀬氏は私の妻と同窓。全共闘リーダーとして学生大会で大きな顔をしていたよ、と妻。昔からやくざチックだったとも。テレビで見る彼の眼は泳いでいる。菅元首相もそうだったが、団塊世代のだめさ加減の象徴か。いや世代ではなく、人間なのかもしれない。

11月某日
黒田日銀総裁のインタビューが朝日新聞の夕刊に載っている。哲学者大森壮蔵の本を語っている。哲学は趣味の一つだと言う。それはそれでよいのだが、「当然ですが、日本銀行で働くのに哲学を学ぶ必要があるとは思いません(笑い)」という箇所で凍りつく。これでは日本はだめだと思ってしまった。これでは西欧知性には勝てない。勝つ必要はないとしても、日本の教育システムの根本的欠陥が黒田氏の発言に出ているのではと思う。
本日、特定秘密保護法衆議院通過。



非常勤日記 26回 投稿者:新井 明 投稿日:2013/11/21(Thu) 21:57 No.581

11月某日
また近所の本屋さんで今度は新書を購入。原田泰さんの『若者を見殺しにする日本経済』(ちくま新書)という本である。原田さんは、現在早稲田の先生をやっているエコノミストである。この本、基本は若者が円高やデフレの犠牲になったという視点で書かれている。私と同じ団塊の世代の著者なのだが、本気で世代間格差解消のための再分配政策を考えているかはこの本からはあまり伺えない。それよりも、成長、リフレ政策推進を主張する本である。アベノミックスの応援団のこの本の真価はあと数年で分かるだろうと思う。ちくま新書では、リフレ派批判の翁邦雄さんの本もでていて、どちらが本当なのと思う。経済は一つの解答はないというのはわかるが、180度違う見解を同一の出版社が出すというのも不思議な光景である。

11月某日
日曜日の新聞の読書欄で、写真家の橋口譲二さんが、アゴタ・クリストフの『悪童日記』(早川文庫)という本を紹介していた。本屋にいって早速購入。一読驚嘆。すごい本であった。ハンガリーらしき国の第二次大戦末からの話である。双子の男の子が疎開で祖母に預けられる。そこからはじまるサバイバルの話である。二人をとりまく人々、過酷な出来事、それらを外部のこととして強烈な自己を形成してゆく二人。大人だったったらピカレスクロマンになるのだろうが、こどもの日記(原題は大きなノート)にそれらの出来事がつづられてゆく。最後の脱出も衝撃の結末。続編があるので読んでみようと思う。ちなみに紹介者の橋口さんは、私と同世代。写真集『17歳』、『17歳の10年』は教材として使える写真集。信頼できる人と思っている。

11月某日
東京部会。近くでポールマッカートニーのコンサートがある。駅から湧いてでてくるのは私と同世代のおじさん、おばさんたち。60前後のビートルズ世代が大挙しておしかけているという構図。ひごろ、若いタレントのドームコンサートの時とは違う風景。全国から来るらしく、ホテルが取れないと篠原先生。部会の帰りは、コンサートが終了した後なのか、駅は閑散。としよりは早く帰るのかもしれない。

11月某日
電車のなかで60代後半の男性二人連れ。どうも大学の同窓会があったようで、「われわれくらいが平均で、70すぎの年寄りが佃煮のようにいっぱい来ていた」としゃべっていた。きみたちも「佃煮」じゃないかと思いつつ、「佃煮」の一人の私は薄目をあけて居眠りをしていた。



非常勤日記 25回 投稿者:新井 明 投稿日:2013/11/13(Wed) 21:51 No.580

11月某日
非常勤の授業。リアペ方式でやっている。今日は、前回書いてもらった「経済の問題で不思議だなとおもうこと」を集計したものにコメントをマシンガントークで付ける。日常生活での不思議を期待したのだが、寄せられた質問の多くは、アベノミックス、国債のゆくえ、TPPなど政策がらみのものが多かった。それだけ、経済政策が日常に影響しているのだろう。あらいくん個人の見解と断りつつ回答をしていったが、本日のリアペのなかには、このスタイルは良いという感想があった。授業は対話だと感じる。

11月某日
昼休みに近くの本屋さんにより文庫本を購入。竹内靖雄さんの『経済思想の巨人たち』新潮文庫である。この本、出されたときに気になっていたが、同じような本が沢山あるので買わないでそのままになっていたもの。一読、よくかけていると感心。竹内さんは、経済は市場ゲームとマネーゲームに分ける。そして、市場ゲームは交換の正義が発揮される場所、マネーゲームは貨幣を増やすための場とする。前者は正義の場所であるが、後者は正義ではなく人間の貨幣に対する特有の思いで動く世界という。このような基準からヘシオドスからベッカーまで36人(項目は34)が取り上げられている。
同じような本に、ハイルブローナーの『世俗の思想家たち』(ちくま学芸文庫)があるが、それよりコンパクト、日本人の著者だけあって日本的文脈で経済学者の説が解説される。例えば、ケインズの「ハーヴェイロードの前提、ブルームズベリーの価値観」は、「霞が関の前提、東大出身者の価値観」と置き換えられるという。原本は16年前に出された本だが、リーマンショックもアベノミックスもある意味ではお見通しの本だとおもった。

11月某日
土曜日。天気が悪く寒い一日。なんだかとてもグルーミー。何もやる気がせずコタツに入ってごろころ。ちなみに、私は冬はコタツで仕事をします。図書館から借りてきた本をひっくり返したり、音楽を聴いたり。夕方、近くに住んでいる娘が来て一緒になべを囲む。妻は久しぶりに娘と会話ができてうれしそう。クルマおくらなければいけないので、本日はノンアルコールのビール(もどき)を飲む。一日こんな感じである。でも、このようなグータラした時間も貴重だと感じる。

11月某日
高校の授業準備をする。社会主義の崩壊がテーマ。まずは、教科書の記述をまとめたプリントを作り、さらに補足のプリントを作る。補足プリントでは、もし私が旧ソ連に生まれたらという年表を作ってみる。これは中国でもやってみてとても面白かったので延長でテーマごとに作ってみる。私は1949年生まれ。中国の場合は、人民共和国と同じ誕生年である。ソ連の場合は、スターリン治下でどんな生き方をしただろうかと想像する。生徒はまだ16年しか生きていないので、これと同じことをさせるのは無理としても、実感をさせるにはよい方法かもしれない。
授業では、その時代を感じさせる映画の一部なども見せることにしているが、社会主義の崩壊では『グッバイ・レーニン』という作品を見せる予定にしている。ちょっと趣味的な授業で、生徒には迷惑かもしれないが、若い生徒がどんな反応を示すか楽しみ。こんな授業準備をしている時が一番おもしろい。



非常勤日記 24回 投稿者:新井 明 投稿日:2013/11/06(Wed) 21:17 No.579

10月某日
高校の授業で、アメリカに入る。まずはアメリカのイメージを生徒にひとことづつ言わせる。最初は、大きい、自由、豊かというような肯定的なイメージが出る。そのうち太ってる、差別、格差などもでてくる。しかし、軍事的な帝国という言葉は出てこない。このようにして出てきた言葉をKJ法風にまとめ、アメリカの光と影、日本にとってアンビバレントな国であることを印象付けた。そのうえで、ベトナム戦争時のアメリカの動向に触れるスタイルの導入にしてみた。さて、このスタイルでどこまでアメリカの多面性に迫れるか。授業後の感想が楽しみ。

10月某日
大学は学園祭の前でみなし金曜日ということで出講。出席者は減ったが、それでも予想以上に出席率は高い。教職の授業は単位をとらなければ意味がないので、まじめであり真剣でもある。それだけの「期待」にこたえねばとおもう。授業は経済の二回目。シミュレーションを二つ紹介する。ひとつは、私のおはこのお金のオークション。もう一つは中川先生開発の公共財ゲーム。体験型の授業は手ごたえがある。公共財ゲームでは、理解が難しい、ノイズの反応が出てきたときの教師の指導力が必要などの貴重な意見が回収できる。

11月某日
11月になった。連休なので、学校の図書館から小説を借り出して読む。ひとつは、池井戸潤の『ようこそ、我が家へ』、もうひとつは浅田次郎の『一路』。両方とも、ちょっとあざといくらいうまい。前者はストーカー事件と銀行から派遣された中小企業での不正事件が絡んだ現代モノ。後者は、江戸末期の参勤交代とお家騒動が絡んだユーモアあふれる教養小説(ビルドゥングスロマン)。ほんまかいなとちょっと突っ込みたくなる部分もあるが、仕事をしながら楽しく読みきる。こんな時間もいいものだ。

11月某日
散歩かたがた、近くの神社に寄る。まだ日にちは前だが、七五三のお参りがはじまっている。観察すると面白い。神社のマネジメントが良くわかる。きちんと神殿にあがって拝んでもらう親子家族連れが結構ある。お札などもしっかり売っている。初もうでと七五三は経営上重要な日なんだろうなと思いつつ『お寺の経済学』(中島隆信)ならぬ「神社の経済学」も書けるのかと考えてしまう。



非常勤日記 23回 投稿者:新井 明 投稿日:2013/10/30(Wed) 21:21 No.578

10月某日
大学の講義、経済教育の領域に入る。このテーマを扱う時にはかならず経済に関する好き嫌い、思いなどを聞く。今年も挙手で経済はきらいだという学生の意見を聞いた。何でもお金に換算する世界はいやという意見があり、生涯賃金の差を何の疑問もなく語る経済の授業には嫌悪感を感じるという意見も出た。それを言ったのが教育学科の学生さんだったので面白かった。私より加藤先生をつれてきて「対決」させたらエキサイティングな論争になるのかと思ったりした。

10月某日
山形に出かける。社会科教育学会の自由研究で入試問題プロジェクトの総括を発表するため。山形新幹線は二度目。福島をでて板谷峠を越えるところで福島盆地が一望できる。峠は紅葉の初期で、盛りになったら素晴らしいだろうなと感じるが、周りの乗客は窓の外には関心が無いようで、しきりにスマホをいじっているか、耳にイヤホンをあてて音楽を聞いている。米沢に入ると農業地帯だなと思わせる風景。果樹園などもひろがり、見飽きない。
山形では、懇親会帰りのネットワークの高橋先生や金子先生と合流。芋煮やこんにゃくなど地元料理を食す。

10月某日
自由研究発表。高校の先生は納得してくれたが、大学の先生方にとってはやや遠い世界の話だったようだ。私の話はどうも昔のアジ演説のようになっていかんなあと反省。同じ会場での発表で、コンゴの紛争資源問題をとりあげた実践を発表に痛く感激。丁度、国際理解の授業で締めをどうするか悩んでいたので、ヒントをもらった感じである。終了後、この教材使わせてもらっていいですかと、少々ずうずうしいが、早速交渉。よろこんでと言われて、今回の収穫はここにありと思う。帰宅したら、いろいろリサーチしなくては。

10月某日
昨日、新幹線待ちの間に駅ビルの書店で手に入れた、『日本経済図説 第四版』岩波新書、をチェックする。筆頭著者の宮崎勇さんは年齢を計算すると90歳になる。すべての解説を書いているわけではないと思うが、章の最後の部分はご自身の筆だとすると、すべてが納得できるものではないにしても、たいしたものだと感じる。データを確認したり、それぞれのテーマで何が問題になっているかを座右に置いて知るには役立つ本だと思う。経済本のなかにはあまりにも手軽、いい加減な本が多い(古本屋では二束三文以下)ので、この種の地味な本が続いていることは意味があると感じる。



非常勤日記 21回 投稿者:新井 明 投稿日:2013/10/15(Tue) 22:02 No.574

10月某日
本屋さんによったら、岩波文庫でラス・カサスの『インディアスの破壊についての簡潔な報告』の新訳が出ていたので購入。このところ『ロビンソンクルーソー』や『宝島』など航海ものを読んでいるが、その延長で有名な本に挑戦。内容の概略や名前だけ歴史の教科書で知っていたが、恥ずかしながら読むのは初めて。一読、ラス・カサスのいう無法者(チラーノ)の暴虐ぶりに驚嘆。よくこれだけのものを告発したという点でも驚く。人間はいかに残虐になれるかという点ではアウシュビッツにも通じる精神の荒廃ぶりだ。解説を読むと、発行当時から毀誉褒貶はあったようで、これも現代の歴史修正主義の登場と通じるところがあると感じる。解説も充実していて、かつ版画も多数入っている。最近の岩波文庫の改訳はなかなかのものと感心。
これだけを読むと残虐スペイン人というイメージだけが残るので、学校の準備室にあった『興亡の世界史』のシリーズの「インカとスペイン」の巻も読みだす。追放されたユダヤ系も登場して歴史の複雑さを感じる。だから面白いんだろうな。

10月某日
前回紹介した日経新聞夕刊の岩井克人さんのインタビューに、わが篠原先生が登場。「近代経済学をともに勉強していた奥野正寛、石川経夫、篠原総一と私(岩井)が大学院進学を志望すると先生たちは非常によろこばれました」とある。その後、大学紛争を契機にアメリカ留学となったと続く。若き日の篠原先生の勉強ぶりが目に浮かぶ一節である。岩井さんのインタビューは、日本に戻って学会に入らず、とにかく自分の理論を考え、本を書いていったことが語られる。碩学の挑戦は続いている。

10月某日
中国の授業の二回め。現代中国の映像と一転して映画『ラストエンペラー』のシーンを見せて戦後中国の歴史の揺れを感じさせたうえで、理解を深めるにはどうするかを問うという構成にする。ちょっと飛躍がありすぎて無理と思うところもあるのだが、ラストエンペラーの文革のシーンを見せたいとおもうこころがはやり、かなり暴走の授業。文革がはじまったのが高校二年生であった私にとっては、自己形成と関連からどうしてもこだわってしまう。そんなこだわりのない現代高校生は、このおじさん何を力んで話しているんだろうという思いだろうな。それにしても、戸籍の問題、档案や単位という仕組みなど、調べれば調べるほど、中国はディープで現代日本とのギャップを感じることが多い。経済発展は、このようなかの地の人権問題を解消する方向にゆくのだろうか。

10月某日
教科書の解説本の原稿を書きながら、経済学の入門書を比較しながら見ている。サムエルソン、マンキュー、スティグリッツの三冊である。スティグリッツの本は本棚の奥に入れ込んでいたのを久しぶりに引っ張り出す。1993年に書かれたスティグリッツの本では、マーシャルから100年、サムエルソンから50年、教科書の内容はすでに古くなっている。だから私がそれらを超えるものを書くのだと高らかにうたっている。読み返してみて、こんなに意気軒昂だったんだと感心する。線など引っ張ってあって、読んだ痕跡があるのだが、ほとんど忘れている。大部なので全部を再読はできないだろうが、本は時々読み直すことが必要だと感じる。それにしても、ほこりを払って読んでも咳がでる。喘息持ちとしては要注意なんだが。



Re: 非常勤日記 21回 宮崎三喜男 - 2013/10/22(Tue) 22:40 No.577

新井先生
読まれていたとは・・・恐縮でございます。

[直接移動] [1] [2] [3] [4] [5] [6] [7] [8] [9] [10] [11] [12] [13] [14] [15] [16] [17] [18] [19] [20] [21] [22] [23] [24] [25] [26] [27] [28] [29] [30] [31] [32] [33] [34] [35] [36] [37] [38] [39]
投稿記事のbニ、投稿した時のパスワード(削除キー)を入れると修正・削除ができます
記事の修正では、ファイルの追加削除も出来ます。お気軽にどうぞ。
処理 記事No パスワード

- Joyful Note -
- JOYFULYY v2.45 :Edit by Yamamoto -